4つんばいで歩く狼少女の姿は、世界に衝撃を与えた
世界で初めて狼に育てられた児童が見つかったののは1920年のこと。
インドのミドナプール付近で、狼とともに暮らす姉妹が発見されたのだ。孤児院を運営するジョセフ・シング牧師は、2人を保護したうえで「幼少時に親に捨てられた少女たちが狼に育てられた」との声明を発表。
4つんばいで歩き、狼のように唸り声を上げる少女は世界的に有名となり、日本でも高校の教科書に載るほどの有名な逸話となった。
その後も、同様の事件は続いており、これまでに世界中で30人を超す狼少年・少女が見つかっている。
発見した神父のヤラセ説が有力です
4つんばいで食事をとる有名な写真も、神父がでっち上げたものだった
教育や児童心理学の分野ではいまも参考にされている事件だが、実は動物学者の間では不審の声が絶えない。
第一に、オオカミは、生まれたばかりの他の獣の子供を好んで食べる習性がある。それなのに、2人の少女は、どうしてオオカミと同居することができたのだろうか。
また、オオカミの乳は、人間の赤ん坊が消化できるような成分ではないし、人間の骨格は4足歩行には不向きにできており、少女がつねに4つんばいで走ったとのエピソードも怪しい。
記録に残されているオオカミ少女の写真は、サービス精神が旺盛だったシング牧師が、学者に向けて行ったヤラセだったとの見方が主流だ。
以上のことから、現在では、少女は自閉症児だったのではないかと考えられている。子どもを育てられなくなった親が娘を森に捨てたという説が、もっとも有力だ。
カマラが、孤児院でほとんど言語を覚えず、かわりに吠えたりうなったりしたのも、すべて自閉症児に当てはまる特徴だ。
同様に、その後で発見された狼少年・少女たちは、カマラの名声を利用した話題作りとみてよい。